県政運営23年度の方針・県幹部に聞く10

置賜総合支庁長・星里香子さん(S58卒)
-昨年8月の豪雨災害の復旧をどう進め、災害に強い地域をつくるか。

「置賜の道路、河川、農林水産関係の被害額は3月時点の概算で約439億円で県全体の被害の大半を占める。本年度は西置賜地域振興局に県南豪雨災害復旧対策室を設け、全力を挙げて普及に当たる。国道121号の本復旧は2025年度までの息の長い事業になり、再び被災することがないようしっかり進める。飯豊町の小白川、萩生川は河川の拡幅や河床の掘削、蛇行を緩やかにするなどの工事を行う。決壊した川西町の農業用ため池『鏡沼』の復旧は町の委託を受け、同対策室が設計から工事までを担う。防災・減災に向け、田んぼダムなどの実証実験をするなど地域ぐるみで取り組んでいく」

-若者の流出が深刻だ。

「今春置賜の学校を卒業した人のうち、県内に就職した人の割合は高校が75.3%、大学が16.9%と前年を下回った。首都圏でも人手不足が進み、若者の取り合いのような状況になっている。高校生による地元企業のPR動画作成の支援や、学生向け企業見学バスツアー、地元企業の経営者による講演などを通して、地域や企業の魅力を伝え、定着に結びつけたい」

-基幹産業の製造業、農業の支援は。

「製造業は付加価値額をいかに上げていくかが課題だ。山形大工学部に加え、飯豊町の電動モビリティシステム専門職大と地元企業との共同研究などを促進する取り組みを展開し、産業振興につなげる。農業は枝豆、アスパラガスの新規栽培者を掘り起こし、実証事業を展開して産地化を進める。果樹は10年後を見据え、新品種への移行や新規就農者向けに団地化した園地を準備するなどの取り組みをする。置賜は有機農業が盛んであり、環境に配慮した農業の実践地域としてアピールしていきたい」

2023年5月8日山形新聞より