伊東忠太に関する資料を手にする山下敦さん(S50卒)=米沢市
26日にドキュメンタリー上映

米沢市出身の建築家で建築学者の伊東忠太(1867~1954年)の多才さを広く知ってもらおうと、同市の元ゆきわり養護学校長・山下敦さん(65・S50卒)らが「伊東忠太の会」を設立した。妖怪を好み、随筆家、探検家など多彩な顔を持った忠太について資料収集や調査研究を進め、改めて魅力を発信する。

伊東忠太は1867(慶応3)年、米沢市座頭町(現在の米沢市中央6丁目)に生まれた。寺社建築の第一人者で、平安神宮、上杉神社、築地本願寺、一橋大兼松講堂などを手掛けた。一方で、妖怪や化け物を好み、建築物にも妖怪を思わせる造形が取り入れられている。雑誌などに絵や随想を発表し、世相を映した風刺漫画なども残した。

山下さんは教員時代、他県の教員から忠太が設計した築地本願寺を案内され、建物に圧倒されるとともに、手掛けた人物が同郷だということに驚いた。その後、少しずつ資料を集め、絵や文章を含めた忠太の作品に触れるにつれ「この多才ぶりをもっと知ってもらいたい」との思いが高まった。

会のメンバーは米沢、南陽、山形在住の5人で山下さんが代表を務める。賛同者も募っている。今後は資料収集などを通じ、広範にわたる忠太の業績を整理するほか、開始の発行、講演会や忠太作品の見学会などを計画している。山下さんは「いろんなことに興味を持ち、がむしゃらに取り組むところが忠太の魅力」と話している。

同会発足を記念し、26日、同市の伝国の杜で、忠太の建築思想の核心に迫ったドキュメンタリー「妖怪を見た男」の上映会を行う。時間は午前10時半からと午後2時から。各会定員80人で、資料代500円。申し込みが必要。問い合わせは山下さん090(9538)2138。

2022年11月23日山形新聞より